不動産売却における「囲い込み」の方法とデメリット

不動産売却

囲い込みとは

不動産取引における「囲い込み」とは、不動産業者が売主から依頼された物件情報を意図的に市場に広く公開せず、自社で取引を完結させようとする行為を指します。この行為は、業者が取引の両側(売主・買主)から手数料を得ることで収益を最大化することを目的としています。しかし、このような行為は売主や買主に不利益を与え、取引の公平性や透明性を損なう可能性があります。

囲い込みの具体的な方法

  1. 物件情報を公開しない(情報非公開型囲い込み)

  2. ① レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録を意図的に遅らせたり、登録自体を行わない。
    ② 広告やポータルサイトへの掲載を控える。 

  3. ③ 一部のプラットフォームでのみ情報を限定的に公開する。

  4. 他社からの問い合わせや取引を妨害(取引妨害型囲い込み)

  5. ① 他社仲介業者からの問い合わせに対し、「既に商談中」「成約済み」と偽りの説明をする。

  6. ② 内覧や交渉のスケジュール調整を意図的に妨げる。

  7. ③ 他社仲介業者を通じた買主に対して、不利な条件を提示する。

  8. 情報の操作や限定提供(情報操作型囲い込み)

  9. ① 売主に対し、他社経由の買主からの申し込みをわざと伝えない。

  10. ② 他社経由の情報よりも自社経由の買主の提案を優先する。

  11. ③ 物件情報の一部を改ざんして他社のアクセスを制限する。


囲い込みのデメリット

  1. ●売主に対する影響

    • 売却価格が適正に評価されない可能性
      囲い込みによって物件情報が広く市場に出回らないため、複数の買主から競争的な入札が期待できず、売却価格が相場より低くなる可能性があります。

    • 売却期間の延長
      情報が限定的にしか共有されないため、買主が見つかるまでの時間が長引く可能性があります。

    • 情報提供不足による不利益
      売主が他社の提案や市場の反応を正確に把握できないため、意思決定が制限されます。


  2. ●買主に対する影響

    • 選択肢の減少
      市場に出回る物件情報が制限されているため、買主は希望条件に合った物件を見つける機会を失います。

    • 不透明な取引条件
      囲い込みにより、買主が不公平な条件で契約を結ばされるリスクがあります。

    • 適正価格での購入機会の喪失
      他の競合買主が排除されることで、競争による適正価格形成が行われない場合があります。


  3. ●不動産業界全体への影響

    • 信頼性の低下
      囲い込み行為が広く認知されることで、不動産業界全体の透明性や信頼性が損なわれる可能性があります。

    • 市場の健全性の喪失
      公平な競争が阻害され、市場の効率性が低下します。

    • 法的トラブルの増加
      囲い込みは宅地建物取引業法に抵触する場合があり、行政処分や訴訟に発展するリスクがあります。

囲い込みを防ぐための対策

  1. 売主の意識向上

    • 売主は媒介契約を結ぶ際に契約内容を十分に理解し、情報公開の方法や範囲について確認する必要があります。

    • 一般媒介契約や専任媒介契約の違いを理解し、適切な契約形態を選択する。

  2. 公正な業者選び

    • 業者の評判や過去の取引実績を調べ、透明性が高く信頼できる業者を選ぶ。

    • 囲い込み行為を防ぐため、複数の業者に相談することも有効です。

  3. データベースの活用

    • レインズなどの公式システムを活用し、物件情報が正確に登録・共有されているかをチェックする。

  4. 法律や規制の遵守

    • 業者は宅地建物取引業法や消費者保護に関する規制を遵守し、公正な取引を行う責任があります。

    • 売主や買主が囲い込みの疑いを感じた場合、行政機関や業界団体に相談することが推奨されます。


不動産取引における「囲い込み」は、売主や買主に多大な不利益をもたらすだけでなく、不動産業界全体の信頼性や市場の健全性を損なう深刻な問題です。消費者が事前に知識を持ち、適切な対策を講じることで、囲い込みのリスクを軽減できます。また、不動産業者自身が法令遵守と透明性のある取引を実践することで、公正な市場環境を構築することが求められます。

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